知っておこう!法定相続人の資格を失う事由(推定相続人の廃除)

だれが相続人になるかは、法律により一定のルールがあります。
その法律のルールに従って相続人となる者を、法定相続人と言います。

しかし、その法定相続人であっても相続人となることができない場合があります。
できない場合とは、「推定相続人の廃除」に該当する場合です。法律にはしっかりと明記しています。

法律で定めてある「推定相続人の廃除」とは、どういう内容でしょうか。

1、推定相続人の廃除とは

  • 相続人となるであろうもの(推定相続人)が、被相続人に対して一定の行為をおこなったときは、被相続人は、家庭裁判所にその相続人となるであろうもの(推定相続人)の廃除の請求ができる。

 

推定相続人の廃除」について法律では、以上のような内容が定められています。

1-1、相続人となるであろもの(推定相続人)とは?

相続人となるであろうもの(推定相続人)とは、一定の行為をうけた被相続人の相続人となるべきものを指します。ただし、遺留分を有しないもの(相続人である兄弟姉妹)は廃除請求の対象となりません

1-2、一定の行為とは?

では、どのような行為を被相続人に対した行えば廃除の請求の対象となるのでしょうか?

  1. 被相続人に対して虐待をし、もしくはこれに重大な侮辱を加えたとき。
  2. その他の著しい非行があるとき。

以上のような行為がある場合には、廃除請求の対象となります。

1-3、廃除の請求とは?

廃除請求の対象となるような行為を受けた被相続人は、家庭裁判所に対して、廃除請求の対象となる行為を行った推定相続人を請求することができます。

ここで注意することは、請求先は「家庭裁判所」であり、それ以外の裁判所(例えば、簡易裁判所等)ではないと言うこと、請求者は「被相続人」自ら(被相続人の親族等でない)であることです。

1-4、廃除の請求手段(方法)

前項で廃除の請求者は「被相続人」のみを書きましたが、請求の手段(方法)は、以下の通りです。

  1. 被相続人が家庭裁判所に廃除の請求をする方法
  2. 被相続人が、遺言に廃除の請求の記載をし、遺言執行者が家庭裁判所の請求する方法

2、廃除請求の効果

廃除請求の効果の発生時期は、家庭裁判所の「審判の確定」の時から(ただし、遺言のよる遺言執行者の請求の場合には、相続開始時に遡ります。)その効果は相続人の資格を失います。

3、廃除の取り消し

「推定相続人の廃除」は、家庭裁判所に対する請求による方法のため、いったん廃除の効果が生じても家庭裁判所に「廃除の取り消し」請求をして認められればその効果はなくなり、相続人の資格を失ったものが、再度資格を得ることができます。

ただし、「廃除の取り消し」請求も被相続人のみしか行えません。