遺留分てなに?遺留分の基礎知識3

青空とお家

2回にわたって遺留分に関して説明をしてきました。

1回目は

遺留分とはなにか?

遺留分の権利はだれにあるか?

遺留分の相続財産に対する割合はどれくらいか?

2回目は

遺留分の算定の基礎となる財産額とは?

今回、最終回は「遺留分の減殺」ついてです。

1、遺留分の減殺てなに?

遺留分の減殺」と聞いてわかる方はほとんどいないと思います。

法律では以下のような規定があります。

遺留分権利者およびその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び一定の贈与の減殺を請求することができる。(民法1031条)

 

よって、遺留分を有する権利者は自己の遺留分権を侵害する遺贈、一定の贈与に対して減殺請求権を行使して、自己の遺留分を保全することができます。

この減殺請求権を行使することにより、遺留分の権利を侵害する範囲で処分行為(遺贈、贈与行為等)の効力を奪うことになります。

2、遺留分減殺請求の性質

遺留分減殺請求を遺留分権利者が行使することによって、遺留分を侵害する範囲でその行為の効力が消滅します。

よって、遺留分を侵害されている遺留分権利者がその請求(減殺請求)を行使しなければ、遺留分を侵害する行為の効果も消滅しません。

遺留分を侵害されている遺留分権利者は、請求することにより、自己の遺留分を保全することができるのです。(遺留分権利者の権利の行使が必要)

3、遺留分減殺請求の行使方法

遺留分減殺請求の行使方法は、相手方に対して意思表示すればそれで足ります。

ただし、実務上では、相手に対して意思表示のみでは事後の立証が難しいため「配達証明付内容証明郵便」をもって行います。

また、意思表示・配達証明付内容証明郵便の内容は、減殺の目的となる財産の価格を具体的に示すまでは必要としません。

ただし、一定の割合(例えば、4分の1等)を特定するくらいの具体性は必要です。

4、遺留分減殺請求の相手

遺留分減殺請求の相手は誰でしょうか?

いろいろな場合によって、相手も変わります。

原則、遺留分減殺請求によって効力が消滅する処分行為(遺贈、贈与行為等)によって直接的に利益を受けるもの  が対象となります。

5、遺留分減殺請求の行使期間

遺留分減殺請求の行使については、以下のような規定があります。

  • 減殺の請求権は、遺留分権利者が相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。
  • 相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。(民法1042条)

 

よって、遺留分減殺請求の行使可能期間は、

相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時」より1年間

相続の開始」より10年間

で請求の行使ができなくなります。

5-1、「相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時」の意味

「相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時」とは、

請求をしようとする遺留分権利者が、相続の開始を知り、かつ減殺すべき贈与または遺贈があったこと知った時が起点となります。

また、「減殺すべき贈与または遺贈があったこと知った時」の贈与は、贈与の事実を知り、その贈与が減殺請求の対象となる贈与であることを知った時が起点です。

5-2、「相続の開始」より10年間の意味

相続が開始した事実が起点となります。

6、まとめ

遺留分を有する権利者がもつ減殺請求の権利の内容について説明してきました。

遺留分を侵害するかしないかは難しい点もあります。

もし、不明な点がある場合には専門家に相談をお勧めします。